日本人の消費者は目が肥えてる?レイコップに騙される程度で?

「日本の消費者は世界一目の肥えた消費者だ!」、「日本で通用する品質なら世界で通用する!」、「日本の目の肥えた消費者に鍛えられたから日本製品の品質は世界最高レベルになった!」などという言葉をよくメディアで目にしますね。

しかし、私はこれ非常に疑問に思っているんですよね。あなたの身の回りには、どう考えても合理的ではない消費行動をしている人結構いませんか?

また、近年でこそマシになりましたが、90年代位まではマスメディアのなすがままに流行りものに飛びついたりしていました。ティラミスだのナタデココだのパンナコッタだの次から次へすごかったですね。

品質云々ではなくてテレビでやっていたから良い、美味しさ云々ではなくテレビで紹介していたのだから美味いといった感じです。

まあ、テレビが価格ドットコムに、食べログにと変わっただけで、本質はそれほど変化していない気もします。賢い(笑)消費者の皆様を騙すメディアが、テレビからネットに変わっただけなのではないでしょうか。

ネットショップで小売業を営んでいると、はたして日本の消費者は本当に目が肥えているのだろうかと、相当疑問を持たざるを得ません。

そしてついに、日本の消費者は実はアホなんじゃないかという私の考えは、先日のレイコップ騒動で見事に証明されてしまったのです。

レイコップ騒動で明らかになった、まだまだ健在のテレビの提供力

皆さんレイコップをご存知ですか?韓国の医師が開発したという韓国製の布団用掃除機で、吸引力が弱い(笑)ことを売りにしている製品です。

必要以上に吸引力が強くないことで布団を巻き込まずにハウスダストのみを除去できるそうで。まあ確かに普通の掃除機を布団の表面にかけたら布団まで吸ってしまって上手くかけられませんね。

そういった意味では布団専用クリーナーとして考えられて作られているのかもしれませんが、以前からその性能を疑問視する声はネット上にありました。

しかし、そんなレイコップが売れに売れて、国内累計300万台に達したそうです。ホントかよ???

300万台って15世帯に1台はあるということですよ。お向かいにも、お隣にもとごろごろレイコップがある計算になりますよ。にわかには信じられませんね。

こんなに人気になったのは、甲高い声の高田社長でお馴染みの「ジャパネットたかた」がパワープッシュしていたことに加えて、某テレビ番組で某家電芸人が絶賛したことから人気に火がついたようです。

この家電芸人はダニが除去できると言って絶賛していたようですが、ビジネスジャーナルがレイコップに問い合わせたところ、そもそもそんな機能はないそうです。

家電芸人の勝手な思い込みか、意図的に嘘の情報を流したのかは定かではありませんが、こうして厄介なダニも捕れる布団クリーナーとして大ヒットしたわけです。

しかし、レイコップジャパン自体はダニが取れる機能など無いと言っているという・・・

結果として、非常に高額な、ダニは取れない、吸引力の弱い布団クリーナーを大量に売りさばくことに成功したわけで、もし意図的に家電芸人に嘘情報を流させていたとしたら、素晴らしい商売ですね。

訴えられても、そんな機能は端から無い、家電芸人の勝手な思い込みだと表明すれば良いわけですから。

その他にも、雑誌など様々な媒体に記事広告を掲載したり、ステルスマーケティングを中心にあの手この手で製品に権威付けを行っていたようですね。

しかし、家電芸人が絶賛して、ジャパネットに売り込まれたぐらいで、「韓国製の」「3万円もする」「吸引力の弱い」クリーナーが300万台も売れてしまうこと自体驚きです。

いやあ、本当に日本人消費者は世界一目が肥えていますね。

みんなに売れてるものが欲しい日本人

日本の消費者が商品を見極める目など持っていないということは、ネットショップの売上を見てみればよく分かります。

私の取り扱っている商材には、楽天市場で長年トップに君臨しているネットショップがあります。万単位のレビューが付いていてそれはそれは売れているわけであります。

しかし、この商材に詳しいから私は良く分かるのですが(ライバル製品を知るために買ってみた)、このトップの店舗の製品は質的にイマイチなんですよね。

別にトップのショップに嫉妬してとかではなく、純粋に商材のプロの客観的な目で見てイマイチなのです。

それでも売れる売れる!製品が良いから売れるのではないのです。売れているから売れるのです。

売れているもの=良いものと考える人が多いから更に売れる、それを見た人がまた買っていくのです。

ネットショップではこういった傾向が強く、売れているものはますます売れるという現象が起こります。

皆さんも何を買おうか迷った時に、カカクコムの売れている商品のトップ5の中から選んだりしたことありませんか?

カカクコムでそのジャンルの上位になった商品の売上は跳ねるそうで、今どきはメーカー側も順位の動向を注視しているほどだそうです。

食べログのランキングは売上ではなく評価なので少し異なりますが、本質的には同じことです。食べログのアルゴリズムは、レビュー数が多いほど評価は高まります。

少数の人が高い評価をしているお店よりも、圧倒的多数の人がそこそこの評価をしているお店のほうが高く評価されます。

したがって、上位に表示されているお店→お客さんがたくさん来る→レビューがたくさん集まる→評価が高くなる、という流れで上位のお店は更に評価が高まっていって評価が固定されてしまうのです。本当は星があまり付いていなくても素晴らしいお店は無数にあるのにもかかわらず。

こういった勝ち馬に乗ろう、みんなが良いと言っているのだから良いのだろうという考え方は、日本人には特に多いような気がします。

日本人の同調圧力や多様性への不寛容を考えると、こういった消費行動をとりがちなのも納得がいきます。

商品をじっくり見極めること無く、みんなに売れているから買う日本の消費者って、本当に目が肥えてますね。

日本の消費者は目が肥えているのではなく、細かい粗探しが得意なだけだ

ネットショップを経営していて思うのは、日本人は商品の本質を見極めたり、素材の質感や職人の技術などに価値を見出すことが苦手であるように感じます。

そういったことよりも、マイナスイオンなどのエセ科学や、納豆キナーゼ、トマトに多く含まれるリコピンなど流行りの健康成分などに飛びつく傾向が大きいです。

日本人がうるさいのは、商品の本質的な価値ではなく、細かい粗探しのように感じます。この部分の質感がイマイチだからもう少し質の良い皮革を使った商品が欲しいではなく、この部分に細かい傷があるから不良品だ、なんか色ムラがあるような気がするから返品したい、といった感じです。

天然皮革を例に出していますが、天然皮革であれば高級品を除いて極めて細かい傷があったり、かすかな色ムラがあるのは当然です。

しかし、そういう重箱の隅を突くようなことを言ってくる人間が一定数います。

数万円の商品ならそのような意見も分かりますが、3000円程度の商品でも、いやそのくらいの安い商品であるほどそのような無理なクレームを入れてくるのです。

もはや、目が肥えているというより、クレーマー気質なだけではないのかという気がしてきます。もちろん一定の人だけですけどね。

私は、中身が使えれば、ほんの少し汚れが付いていても、箱が破れていても気にせず使いますが、こういうところを気にする人は日本人には多いような気がします。

諸外国では、高級品を除いて、こういった面は意外とおおざっぱだったりするので、日本人の神経質さが覗えます。

本当に安物を購入した人ほどこういうところを気にするので困ったものです。商品にはグレードというものがあり、安い商品が高級品と同じクオリティであるはずがないのです。

日本のように総中流の社会で、年収120万円のワーキングプアも年収1億円の富裕層も同じようなスーパーで購入し、同じような飲食店で食事をする社会と違い、多くの国では格差がハッキリとしていて金持ちの購入する商品と貧乏人が購入する商品にはグレードの差があります。

その点、日本は所得ではなく階級として総中流社会であるため、この辺りが曖昧で、安物の商品にも高級品の品質を要求したり、安宿で高級ホテル並みのサービスを求めるから手におえません。

私から言わせれば、日本人はふさわしい対価も支払わずに、払った対価以上のサービスを要求するワガママなだけの消費者です。

それでいて、商品の本質を見極められずに、簡単なセールスコピーにまんまとハマるという・・・

メディアや広告代理店からすれば良いカモですね。

「日本人は目が肥えている。日本の消費者は賢い。」というのは、相変わらずメディアにいいように操られている日本人の消費行動を肯定して、このままの賢い(笑)消費者でいさせるための、広告代理店が流しているプロパガンダなのではないかとすら思えてくるのです。

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