小さなネットショップこそランチェスター経営戦略の弱者戦略に徹するべきだ

ネットショップを立ち上げて起業しようと考えた時は、どんな商品を取り扱って、どんなお店にしていくかというコンセプトを考えて計画を練るのが第一歩となります。

自分の好きなもの興味のあるものを取り扱って、コンテンツマーケティングと店長のパーソナルブランディングによってファンを獲得して売上を上げていくのが、資本の無い小さなネットショップの王道であることは散々述べてきました。

しかし、自分の興味のある商材で始めるようにアドバイスすると、あれもこれもと自分の興味のあるジャンルの商品を片っ端から取り扱おうとする人が多いのです。

例えば、自分はスマホやガジェットが好きだからスマホアクセサリを海外から輸入して扱おう、それからスノボが趣味だから何とかメーカーから仕入れて売れないだろうか、あと親戚がイチゴ農家をやっているからこれを直売させてもらえたら面白そうなど、ついつい欲張ってしまうものなのです。

売り場面積や接客スタッフに限りがある実店舗と違って、ネットショップは簡単に商品点数を増やすことが出来ますので、ついつい仕入れられるものならなんでも取り扱ってしまおうという気になってしましますが、小さな立ち上がったばかりのネットショップがあれもこれもと手を出すのは賢い選択とはいえません。

あるジャンルに絞り込んで、まずはじっくりと基盤を固めることが重要です。あれもこれもと手を出しては、労力の投下や資金投下が分散してしまい、大資本のショプに打ち勝つ事ができません。ネットショップが市民権を得て10年以上になりますが、ネット小売の業界も年々寡占化が進みつつあります。

このように小規模の事業者が事業領域を絞って大資本に対抗する戦略を、ランチェスター経営戦略の弱者の戦略といいます。本日はランチェスター戦略を交えつつ、あるべき小さなネットショップの姿について考えてみたいと思います。

ランチェスター経営戦略とは

いきなり出てきましたが、そもそもランチェスター経営戦略とはどのようなものなのでしょか。フレデリック・ランチェスターという方が、20世紀のはじめにランチェスターの法則という戦闘の数理モデルを発表しました。この法則には第一法則と第二法則があり、これを経営に応用したものがランチェスター経営戦略です。

第一法則では1対1の戦いで、古い弓や剣などの兵器で1対1で戦っていると、両軍の兵員数に比例して情勢が決まるよということです。
第二法則は兵器が近代化して敵の位置を正確に把握して効果的に1対多で攻撃を行えるようになると、両軍の兵員数の二乗に比例して情勢が決まるよということです。
つまり第二法則になると、数が多ければ多いほど二乗で有利になるということになります。

つまり戦力で劣る弱者は第一法則で戦う必要があるとることですね。第二法則で戦ったら戦力差以上に勝負になりません。この第一法則で戦えるように経営戦略を練っていくことを弱者の戦略といいます。

詳しく説明すると長くなるので、くわしくはまた別の記事で解説することにしますが、要するに弱者には弱者の、強者には強者の戦い方があるということです。小さな会社が大企業に対抗しようと同じことをやっていては勝てるわけがないのです。

弱者の戦略と強者の戦略をまとめると下記のようになります。この弱者の戦略を応用して、小さなネットショップを運営していく必要があるのです。

五大戦法
弱者の戦略 強者の戦略
一点集中 総合戦
局地戦 広域戦
接近戦 遠隔戦
一騎討ち戦 確率戦
陽動戦 誘導戦

選択と集中!ネットショップは弱者の戦略で専門店を目指せ

今日の記事はランチェスター戦略のネットショップへの応用ですので、ネットショップに限って考えていきます。ランチェスター戦略全般のお話ではありません。
弱者の戦略で、如何に小さなお店が広大なECの世界で生き残っていけばよいのかというお話です。

一点集中で総合戦に挑む

弱者の商品戦略は集中です。とにかく取り扱い品目のジャンルや商品点数を絞り込むことです。商品の豊富さでは大手のショップには全く刃が立ちません。品揃えで大手に対抗しようとしたところで勝ち目があるわけがないのです。

そうではなく、うちのお店はこのジャンルに関しては誰にも負けない専門店ですという感じで、特定のジャンルに絞って専門性をアピールする専門店を目指すことです。何でも屋ではなく尖った専門店を目指すべきです。

実店舗においては、特定のジャンルの商品しか置いていない街の小さな専門店では、あらゆる物が揃った郊外の大型SCにはまるで刃が立ちませんが、ネットショップに限っては距離の制約がないため十分に成り立ちます。ネット全体で一つの大きな大型SCなのです。ネットという大きなSCの中に出店する尖った専門店になることが出来るのです。

スマホアクセサリも、スノボも、イチゴもと、あらゆる商品がゴチャゴチャに出品されている怪しい何でも屋のショップよりも、iPhoneアクセサリ専門店を名乗ったショップのほうが信頼性があると思いませんか。

また、多数の商品在庫を持つことは、資本力の無い小さなショプにとっては大きな負担になります。ただ、商品点数を絞れば在庫負担は少なくなりますが、品揃えの薄い貧弱なショップに見えかねません。そこで専門店を名乗ることで、商品点数が少ないというマイナスポイントを「拘りのショプ」という言葉でプラスに変えるのです。

本当に商品点数を絞り込むために、極限まで尖ったニッチの超専門ショップにしてしまうのも手です。例えば、iPhoneアクセサリ専門店を絞り込んでiPhoneケース専門店へ、更に絞り込んでカワイイ猫のiPhoneケース専門店という形で、ニッチ方向へ進めば進むほど商品点数を絞ることが出来ます。

売上が上がってきたら徐々に商品点数を広げて逆にニッチ度を緩めても結構ですし、同じような超ニッチな尖った店舗を複数水平展開してもよいでしょう。このあたりは実店舗と違って、お金をかけずに柔軟に対応できるのがネットショップの良いところです。

とにかくまずは、商品数を絞って一点集中主義に徹するというのが基本です。私のショプも売上一位の商品が全体の売上の8割程度を占めています。抱えている在庫はほとんどが同じ商品ですので、在庫リスクは少ないのです。

局地戦で広域戦に対抗する

地域戦略は、実店舗であれば、弱者は局地戦で一つの店舗に集中するか、ドミナント戦略で特定の地域に固まって出店していきます。一方の強者は、広域戦を展開します。有り余る資本であらゆる地域にガンガン出店していきます。

地域戦略に係わらず、弱者は局地戦、強者は広域戦というのはランチェスター戦略の絶対法則です。ランチェスターの法則の第一法則(局地戦)よりも第二法則(広域戦)で弱者が不利なのは明白です。

戦線を拡大するとただでさえ少ない戦力がより薄まってしまうので、弱者は戦力を固めて局地戦を展開する必要があります。

ただ、地域戦略は出店がオンライン上であるネットショップにはあまり当てはまらないかもしれません。強いて言えば、楽天市場にYAHOOショッピングにアマゾンにとあれこれ出店するのではなく、まずはどこか1つのモールに絞って、徹底的にそのアカウントにレビューを貯めるなど集中的に育てることかもしれません。

接近戦で遠隔戦を封じる

顧客戦略、マーケティング戦略を考えた際に、弱者は接近戦を展開しなければいけません。接近戦と云うのは顧客や見込み客に対して営業マンが1対1で対応するなど、近づいて対応したり売り込みを掛ける戦略です。

一方の強者は遠隔戦を展開していきます。遠隔戦というのは有り余る資本でマス広告を打って不特定多数にアプローチするなどの方法です。

弱者が大きな広告を打って勝負しようと思っても、資金力が違う大手に勝てる訳がありません。同じコストを使うなら営業マンを雇って足で泥臭い営業を展開するほうがまだ対抗することができます。

ネットショップで考えてみれば、効果があるのか分からない広告をむやみに打つのではなく、オウンドメディアやSNSなどを使ってファンを獲得して、地道に交流を行い見込み客に育てていく手法のことでしょう。

どかどか広告を打っても、さらに広告を打って魅力的な商品郡を揃えた大手ショップに対抗できるとは思えません。アドワーズ広告を打ったところで、同じような商品を何倍も揃えているアマゾンに対抗できると思いますか?

一騎討ち戦で確立戦を突破する

弱者は一騎打ち線で勝負しなければいけません。ランチェスターの第一法則でも分かる通り、1対1であれば強大な敵ともそこそこ戦えます。しかし第二法則の1対多の戦いになった途端に戦力数の二乗分不利になってしまいます。

これだと決めた市場や商品に集中して、ライバルと一騎打ちをする必要があります。この一騎打ちで負けるわけにはいきません。一騎打ちを挑む以上、負ければ即死が待っているのです。

これに対して強者は確率戦を仕掛けてきます。特定の市場や商品にフォーカスするのではなく、様々な市場に参入して顧客を囲い込んだり、同じ種類の商品でも複数の種類を展開して物量で押します。数を仕掛けて確率的に当たりが出れば十分なのです。時に同じメーカーの同じジャンルの商品で複数商品を展開して、企業内で競合商品を抱えるような場合すら有ります。

ネットショップで考えてみれば、あらゆるジャンルの商品を仕掛けるのではなく、特定ジャンルに絞った専門店を意識して店作りをする必要があります。あれもこれもと何でも屋を作っても、さらに商品点数の多い大手ECには対抗できません。

また、同一ジャンルの商品であっても商品数を絞って、その推し商品を重点的に販売していくべきです。大手のショプは同じジャンルの商品でも微妙に仕様を変えて様々な商品を並べていたりましますが、弱小ショップは無理に商品の選択の幅を設けなくても、これだという推し商品がればよいのです。

あれもこれも並べて、確率的にどれかが当たればいいやという考えでは大資本には勝てません。何が何でもこれを売るんだろいう自信を持った商品を用意しましょう。

陽動戦を貫き誘導戦に巻き込まれないようにする

弱者の戦略は差別化の戦略です。大手の真似事をするのではなく、オリジナリティを持った差別化商品を一点集中で展開しなくてはいけません。大手が展開していないような新しいサービスや差別化された商品をゲリラ的に投入して陽動を図らなくては大手に対抗できません。

一方の強者は、有り余る資本と数を有利に働かせるために、ランチェスターの第二法則が適用される戦場に弱者を誘導しようとします。弱者が電撃投入した新製品を真似した商品を多数投入したり、価格競争を仕掛けたりして、弱者を第二法則の戦場に引きずり込もうと誘導してきます。第二法則が適用されるフィールドで争っても弱者に勝ち目はありませんので、誘いに乗ってはいけないわけです。

ネットショップで考えてみると、弱者は他に無い新機能を持った革新的な製品をリリースするか、今までに無い奇抜なプロモーションを行うか、今までに無かった超ニッチな市場を創造するなど工夫をする必要があります。

間違っても、どこのショップでも取り扱っているような、有名メーカーのプロパーの商品を数並べる様な売り方ではいけません。それは強者の戦略であり、弱小ショップがそのような戦略で勝負を挑んでも勝ち目はないのです。

こちらが挑まなくても、強者である大手ECショプが弱者潰しで価格競争を挑んでくるということは頻繁にあります。あらゆる品目を扱う大手ショップは、特定商品で赤字で強烈な値引き販売を行なっても、他の商品でカバーできるので、人気商品は極端に値下げして会員を囲い込み、ロングテールのニッチ商品で利益を出すような戦略を取ります。そう、アマゾンのことですね。

結局純粋な小売なんてEC市場じゃ生き残れないのです

弱者の戦略の5大戦法を見てみると、結局のところオリジナリティを持ったオリジナル商品がないと弱者じゃ勝負にならないことがわかります。強者は自分に有利な第二法則の戦場に呼びこもうと誘導戦を挑んでくる訳ですから、他店と同じ商品を扱っている限り価格競争は避けられないわけです。

体力勝負の消耗戦になれば資本力のある強者に勝てる訳がありません。小さなショップは絶対に値段勝負などしてはいけないのです。

しかし、型番商品を販売している限り値段勝負は避けられないわけですから、結局ショップはメーカーになるしか無いのです。自社製造であれ、他社に生産委託のOEMであれ、オリジナル商品を持たない弱小ショップに明日はありません。

型番商品のみを売る小売店はネットではやっていけません ネットの価格競争は本当に熾烈です。距離というボーダーがある実店舗の競争と違って、ネットショップにはまったく障壁がありません。 何の障害もなく裸一貫で価格競争にさらされます。お客さんが見るのは価格一点!本当に完全な価格勝負です。
utunet.com

街の小さな小売店が、ロードサイドに纏まって出店する量販店に駆逐されたように、小さなショプも大手ECに勝ち目はありません。他者が生産した製品を仕入れて売る小売は規模がモノを言うのです。弱小ショップが小売業で生き残っていくのは至難の業です。

どうしても型番商品しか仕入れられない場合は、接近戦で顧客との距離を詰め信頼を勝ち取っていくしかありません。その場合はトリプルメディアを使ったコンテンツマーケティング戦略をフル活用しましょう。

昨日の記事では、コンテンツマーケティングの肝となるオウンドメディアについて解説させていただきました。本日はオウンドメディアを活用した、実際のネットショップ経営の戦略について考えていきたいと思います。
utunet.com

この記事が役に立ったら「いいね」をポチッとな!

AD

EC事業(ネットショップ経営)カテゴリの人気記事

まだデータがありません。

コメントを残す