零細が大企業を喰う?ネットショップがオウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングを導入する方法
昨日の記事では、コンテンツマーケティングの肝となるオウンドメディアについて解説させていただきました。本日はオウンドメディアを活用した、実際のネットショップ経営の戦略について考えていきたいと思います。
以前の記事で、ネットショップでは型番商品を販売する小売店は価格競争に巻き込まれて利益が出せないこと、大手モールに出店しても出店するだけでは全く売れないことなどを述べてきました。
私もネットショップ経営10年になりますが、なかなか難しいものです。ネットなら簡単に儲かる、ネットショップを作りさえすればバンバン売れる、などというのは遠い昔90年代の話です。
2001年のYahooBB登場で常時接続のブロードバンドが爆発的に普及しだした頃から既に、ネットなら簡単に稼げるという時代ではありませんでした。この頃から既にリアルビジネスと同じような競争があり、今日では実店舗以上の熾烈な競争が繰り広げられているのです。
以前から繰り返し言ってきましたが、こうした熾烈な競争(特に価格競争)の中、他と横並びのお店作りで、商品を大量に並べてただ広告を打っているようなやり方では利益を出すことは難しいのです。
昨今の副業ブームで、ネットビジネスに取り組む給与所得者は著しく増加しています。情報商材やセミナーを通じて儲けのノウハウが爆発的に拡散している今、アフィリエイトや転売に留まらず小売にまで手を伸ばしてくる副業実践者が増えてきました。
ネットショップは、ショプの表記を見ると法人という形態をしているのでそこそこの会社が経営していると錯覚しがちですが、実際は1人企業や家族経営の極めて個人事業主に近いショップがほとんどです。自宅で1人で経営して年商億を達成しているというのは珍しい話ではありません。
極端な話、個人が1人でも始めることが出来、お店の見栄えの上では社員1000人の会社のショップと肩を並べることが出来るのです。つまり、リアルビジネスに比べて極めて参入障壁が低い、誰でも入ってくることが出来るビジネスなのです。
参入障壁が低いというのは喜ぶべきことではありません。誰でも始めることが出来るが云えに、競争が熾烈になるのです。ネットショップには距離がなく日本全国が商圏になるというメリットが有る一方、全国の事業者がライバルになるという現実もあるわけです。
この熾烈なネットショップ戦国時代に生き残っていくためには、他のショプにはない圧倒的な差別化が必要なのです。
本日考えていくコンテンツマーケティングというのは、誰でもお金をかけずに実践できて、極めて効果的なマーケティング手法です。ネットショップとの相性も良く、差別化を目指すネットショプ経営者は導入必須のノウハウになります。
この記事のもくじ
価格が安いからではなく、このお店だから買いたいというファンを作る
商売の絶対的な成功法則に粗利が取れる商売を営むということがあります。価格競争をして利益を削るということほど愚かなことはありません。店舗独自の商品を用意できれば一番良いのですが、メーカーの型番商品しか無い場合でも差別化は可能です。
「①お客さんが特定の商品を買おうと決める→②楽天市場やアマゾンで価格を比較して安いお店で買う」このプロセスではダメです。これでは一番安いお店で購入するに決まっています。だから一番安い店になろうとして価格競争に巻き込まれるのです。
そうではなく、「①商品が欲しいと思っている見込み客をあなたのオウンドメディアに集客する→②コンテンツを通じて見込み客を教育する→③あなたのショップで販売している商品だから購入したいという気持ちにさせる」この流れです。
あなたのお店のファンになっているお客さんは、他店よりも多少高くてもあなたのお店で購入してくれる可能性が高まります。キーワードは「信頼構築」です。
コンテンツマーケティングの肝は、オウンドメディアに大量の記事をストックしていき、検索エンジンからの流入の間口を広げるという点も重要ですが、それ以上に質の高いコンテンツを無料で提供して見込み客に信頼してもらうことが重要です。
お店のオウンドメディアやアーンドメディアを通じて、見込み客がお店に信頼を寄せるようになってくれていれば、多少の安値を提示するお店が他にあったとしても、見込み客はなびきません。
パッと出の激安ライバルを寄せ付けない、信頼関係のバリア
例えばあなたが生命保険の外交員だったとして、飛び込み営業で住宅街を周っていたとしましょう。ピンポン押して訪問したところで碌に契約してくれる人がいる訳がありません。
しかし、上司から詰められて断られた家に何度も行かされるわけです。殆どの家では迷惑そうに追い返されますが、何度も訪問している内に多少なりとも言葉を交わしてくれる人が現れます。嫌々であっても人は繰り返し接していると好感度や印象が高まるのです(ザイオンス効果)。
少しでも話を聞いてもらえるようになったら、焦らずに平静を装い、直ぐに売り込みを掛けるようなことはしません。そこから何度も訪問して世間話などして信頼関係を構築します。
一度信頼関係ができれば、無理にプッシュして売り込みをかけなくても自然な提案で契約してくれる可能性が高まります。まあそれでも簡単には契約には至りませんが、初めて訪問した時とはまるで反応が違うはずです。
この段階になれば、他社の営業マンが横からやってきて、うちの商品のほうが条件が有利ですよと悪魔のささやきをしたところで、お客さんがなびくことはありません。時間をかけて構築した信頼関係の力というのはそれほど強いものなのです。
非常にきつい飛び込み営業の仕事と違って、ネットショップはウェブが営業マンの仕事を代わりに遂行してくれます。これは大変ありがたいのですが、これだけではなかなか売れません。これは初めての訪問でいきなり商品の売り込みをするのと同じなんですね。
そこで訪問販売と同じ営業手法をネットに応用していくわけです。時間をかけて信頼関係を構築するということですね。そこで活躍する営業マンこそがオウンドメディアでありアーンドメディアなのです。
良質なコンテンツのストックにより検索流入の間口を広げる(新規開拓)、良質なコンテンツを提供して信頼を得る(信頼関係構築)という営業マンのお仕事をウェブが行ってくれるのです。
これこそがコンテンツマーケティングなのです。コンテンツ(=営業マン)を増やせば営業成績が伸びると考えれば、コンテンツが如何に重要な競争力を持つかイメージしやすいのではないでしょうか。
実際にネットショップがオウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングを行う手法
理屈の説明が終わったところで、実際のネットショップに応用したプロセスを考えてみましょう。コンテンツマーケティングの手法は無限にあり、今日例として出すのは一例に過ぎません。自分のショップの実情に合わせて自分で試行錯誤してみましょう。
例えば一例挙げるとすれば、あなたがとある過疎地○○村の農産物や工芸品などを販売しているショップを大手ネットモールに出店しているとしましょう。並んでいる商品は他にはないオリジナルですので価格競争に巻き込まれることはありません。しかし、まるで知名度が無いため全く売れません。
モール内で広告を打ってやっとチョロチョロ売れている程度で、広告費を考えると赤字になっています。広告を打たないとまるで売れないけど、広告を打っても黒字になるほどは売れない。このままでは経営が成り立たない・・・
そこでコンテンツマーケティングに打って出るわけです。あなたは「○○村で奮闘する小さなお店の店長のブログ」というブログを立ち上げるわけです。無料ブログでも結構ですが、オウンドメディアを目指すなら独自ドメインとワードプレスでしょう。
まずは集客の間口を広げなくてはいけませんので、毎日1記事は必ず書くようにします。
間違っても内容は商品を売り込むようなものであってはいけません。もちろんたまには商品紹介の記事も必要ですが、大半は商売抜きに訪問者の役に立つ記事、訪問者が読んで楽しめる記事でなければいけません。
例えば役に経つ記事とは、扱っている商品の中に地元のお米があるとすれば、農家の知恵!美味しいお米の炊き方や、ふるさとレシピ!おらが村の特製炊き込みご飯の作り方など、商品に関係する読んで役立つ内容です。
究極的には商品に関係しないくても読む人にとって有益であれば大丈夫です。田舎の知恵!家を荒らす害獣ねずみの超簡単撃退法、等なんでも良いのです。
一方読んで楽しいコンテンツというのは、特段役に立たなくても待ち時間にスマホでボーッと眺めて時間を潰せるような日記のようなものでも大丈夫です。
役に立たない日記のようなものを入れても大丈夫かどうかはショップの特性にもよりますが、このコンセプトのショップのブログで田舎の生活を綴る内容なら全く問題ありません。
例えば、少しずつ暖かくなってきて我が村にも春の花々が顔を見せてくれ始めましたや、田植えの時期になり村内の水田では一斉に田植えが始まっていますや、私の家の庭の渋柿の木に実がなりましたので干し柿作りをしました、などなど田舎の村の暮らしを大げさに演出するくらいの日記であればもう立派なコンテンツです。
もう覚悟を決めてショップやっている田舎の農家直営のネットショップですと、一家で顔出しして子供の成長の様子までブログで配信しているところもあります。顔の見える生産者とはまさにこういうことで、これが消費者の信頼をつかむのです。
さて、毎日毎日コツコツブログを更新しても、暫くの間は全く効果がありません。コンテンツマーケティングの唯一にして最大の弱点は、取り組み始めてから効果が出るまでに長い時間がかかるということなのです。
「3ヶ月間毎日ブログを書いても全く売上が上がらない、もうやめよう・・・」でやめてしまう人が本当に多いのです。実はこれアフィリエイトで稼げない人が多い理由と全く同じなんですね。コンテンツを作っても作っても効果が出るまでに時間がかかるので、モチベーションの維持ができなくて効果が出る前にやめてしまうわけです。
コンテンツマーケティングとは、広告のように始めて直ぐに効果が出るものではないということをよく覚えておいてください。ブログを始めたらどんなに効果が出なくても1年間は続けないとダメです。
そんな面倒なことをチマチマ続けるのは無理だという人は、コンテンツマーケティングに向いていませんので、諦めるしかありません。あるいはそのあたりに明るい従業員に任せる方法もありますが、情熱のある事業主が書くコンテンツとはまるでパワーが違うということは確かです。
ブログに記事が溜まってくると、検索エンジンからブログに潜在顧客が流れ込んできますので、新規見込み客獲得に成功です。次は信頼関係の構築です。検索エンジンから来た人がその記事だけ見て帰ってもらっては困るわけです。
他の記事も見てもらえるように、ブログ内の動線をブラッシュアップしたり、コンテンツ内容をブラッシュアップしたり、オウンドメディア(ブログ)とアーンドメディア(facebook,twitterなど)を連携して、一見さんをファン化していく必要があります。このあたりは膨大な内容になるので又の機会に分けて細かく解説していきたいと思います。
簡単にまとめてしまえば、ブログ作って質の高いコンテンツをストックしていくと検索エンジンから人が来る→ブログとSNSなどを使って一見の訪問者をファンにする→繰り返しコンテンツに触れてもらって信頼を勝ち取る→信頼関係が構築できていればふとした瞬間にさらっと商品を勧めると売れてしまう、ということなんです。
○○村のショップの例で言えば、満面の笑みで稲穂を持つ農家の子供の写真など稲刈りの様子の写真を沢山掲載した記事の最後に、「まさに今日刈り取られたお米は今が一番美味しい瞬間です。私達が心をこめて作った新米をいち早く皆さんにお届けいたします。」と一言添えてショップの販売ページヘのリンクを張るわけです。
これがオウンドメディアを使ったネットショップのコンテンツマーケティングの流れの一例です。たしかに時間も手間もかかりますが、広告費を使うこともなく、他店と競合することもなくなりますので極めて有効なマーケティング手法です。
というよりも、競争が激しいネットショップの世界においては、もはやここまで手間を掛けないとまともに利益を出すのが難しいということです。ネットショップを出店すれば楽々売れまくるなんて幻想を抱かずに、小さなことからコツコツやっていきましょう。努力をすれば1人企業が1000人企業に競り勝つことも夢ではない業界なのです。
AD
EC事業(ネットショップ経営)カテゴリの人気記事
まだデータがありません。